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日経アジア社、日経中国(香港)社では、様々なジャンルでご活躍中の
方々を講師としてお招きしセミナーを開催しています。

 

地頭力を鍛える - 問題解決に生かすフェルミ推定 2008年10月
シンガポール [サンテック・シティ]



日経アジア社は10月11日、シンガポールのサンテック・シティで、リーダーズアカデミーと共催で、ザカティコンサルティング・ディレクターの細谷功氏を講師に招き「地頭力を鍛える――問題解決に生かすフェルミ推定」をテーマに新・日経テレコン21セミナーを開いた。

 

日本経済新聞デジタルメディアのニュースおよび記事・企業情報検索サービス、日経テレコン21について広く知ってもらうのがねらい。講演した細谷氏は、「インターネットで知識が誰にでも手に入る時代は、集めてきた情報に、どこまで考える力を使って付加価値を加えられるかが重要だ」として、思考能力を鍛える手段としてのフェルミ推定の手法について解説、地頭力を向上させられるかどうかは「知的ファイティングポーズを取り続けられるかどうかにかかっている」などと、あらまし以下のように語った。

 
地頭力とは何か、それがなぜ必要なのか


かねて、前例が通用しない時代には「考えること」が必要だと言われてきた。ただ、今の時代に考えることが重要だという時、さらに特別の意味がある。それはインターネットの出現と関係がある。今やインターネットによってかつては専門家しか知らなかったような情報をしろうとでも入手できる。良質な情報があればしろうとでも、専門家を追い上げることが可能になっている。そこで、重要になるのが「地頭力」だ。

ただ「頭が良い」というのと、「地頭力が強い」というのはどこが違うのか。普通、頭が良いという場合、1.もの知りである(クイズに強いなど)、2.機転が効く(対人的な対応能力が高い)、3.思考能力が高い(将棋や数学に強いなど)がある。「地頭力」は、この中では3に相当する。

我々がある問題を解決する時、1.情報を集めてくる、2.それに自分なりの視点を加える、3.それを人に伝える、という3つの段階を経るのではないか。これまでは、1.とか3.の能力が高い人が評価され、2.の力がある人は、ややもすると煙たがられたりした。これからは、「どうしてこんなことやってるの」という人が重要になる。

 
「日本全国に電信柱が何本あるか」を何も調べないで3分間で考えよう 


「日本全国に電信柱が何本あるか」、「日本全国に美容院はいくつあるか」、「世界のワイン消費量は年間どのくらいか」――。この問題に対する答えを、3分間で考えてほしい。こうした、一見、算出の困難な問題に、自分の頭の中にある常識を駆使して数をはじき出すというのが、フェルミ推定である。

例えば、電柱の問題の場合、市街地に50メートル四方に一本、郊外には200メートル四方に一本などと、大胆な仮定を置いて、日本の面積にかけてみる。美容院の問題では、人口と美容院一軒あたりのお客さんが何人くらいいるかという手がかりから推定する。ワインでいえば、世界の人口60億人のうち、何割がヘビードリンカー、何割がミドルドリンカー、残りの何割億人が飲まない人などというようにおおまかな前提を置いて、計算する。

実際に、こうしたやり方で推定してみると、意外なことに、かなりの確率でケタ数くらいは正しく推定することができる。ここでのポイントは、「知らないからわからない」とか、「調べてみなければわからない」という姿勢を捨て、手元にある知識をもとに、ともかく答えを出してみるということだ。フェルミ推定を行う際には、1.知的ファイティングポーズを取り続けられるか、2.とくかく制限時間内に答えを出せるか、3.前提条件を決めて前に進めるか、4.情報がない中でどこまで粘れるか、5.正確性よりもプロセスを重視できるか、というような要素がポイントになる。

 

 
自分の頭で考えるか「コピー・アンド・ペースト」かで差が付く 


フェルミ推定を行う際、1.いったん自分のいるところから離れ、結論から、もしくは到達点から逆算して考えてみること、2.全体から、もしくは上空からの視点で考えてみること、3.さらに、前提を置く時などに本来の目的に関係ないことは忘れて、単純化して考えること――などが役に立つ。自分の周りだけの状況から全体を推し量ることはできないし、情報の精度にこだわる余り時間がかかりすぎるのも良くない。時間と精度のバランスが大事だ。

3分間でも、自分の頭で考えている人と、インターネットで得た知識をコピー・アンド・ペーストしている人との間には、時間がたつと大きな差がつく。インターネットの情報や他人の情報を鵜呑みにするのではなく、自分の思考回路を起動させることが大切である。その上で、限られた時間内に可能な範囲での答えを出すという訓練ができてくれば、圧倒的に生産性があがってくるはずだ。

 
[対談] 「良い質問、良い問いかけ」が部下の地頭力を鍛える 


講演後、リーダーズアカデミーCEOの嶋津良智氏と細谷氏の対談および質疑応答が行われた。「地頭力という言葉の由来は?」という質問に、細谷氏は「地頭という言い方は、コンサルティング業界などでもともと思考力の高い人のことを『地頭がいい』などと言っていた。それに『力』を加えて、それを著書の中で具体的に定義してみた」と回答した。

また、「だから、部下がついてこない」(日本実業出版社)などの著作があり、職場の人間関係やリーダーシップ論が専門の嶋津氏は、「地頭力の良い部下を育てるにはどうしたら良いか」との問いに、「それは、良い質問、良い問いかけをすることだ」と答えた。

嶋津氏によれば、上司が部下の問いかけに対応する仕方には、1.初めから答えを言ってしまう、2.答えを出させるような誘導尋問をする、3.予め答えを想定しないで質問する、の3通りがあるという。「答えを想定しない質問」をすると、部下が自分で考え、思いもしなかったようなしかも優れた答えが出てくる可能性があるという。

 
講 師 略 歴


細谷功(ほそや・いさお)氏
ザカティーコンサルティングのディレクター、ビジネスコンサルタント。1964年神奈川県生まれ、東京大学原子力工学科卒、東芝で8年間エンジニアとして働いたのち、経営コンサルティング会社のアーンスト&ヤングコンサルティング(現ザカティーコンサルティングの前身)に入社。企業の業務プロセスの改革のコンサルティングを行う傍ら、2007年12月に出版した著書の「『地頭力』を鍛える」(東洋経済新報社)がベストセラーに。ほかに「いま、すぐはじめる地頭力」(大和書房)などの著書がある。

嶋津良智(しまず・よしのり)氏
リーダーズアカデミーCEO。大学卒業後、IT系ベンチャー企業に入社、トップセールスマンとして活躍。28歳で独立・起業。その後、2人の経営者と情報通信機器販売会社を設立、6年目に株式上場(IPO)を果たす。2005年、次世代リーダーを育成することを目的にリーダーズアカデミーを設立。2007年9月からシンガポールを拠点に活躍中。著書=「だから、部下がついてこない!」(日本実業出版社、2006年)、「上司のルール」(明日香出版社、2006年)など多数。

 


 

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